コンセント増設の種類や注意点、相場は?
コンセントの増設を計画する際には、種類や注意点、費用について事前に理解しておくことが重要です。コンセント増設を目的とした工事は、主に3つあります。
コンセント増設のための工事とは
①既存の配線から分岐する方法
もともと屋内に引いてある電気配線を分岐させ、内部配線を変えてコンセントを増設します。コンセントがない場所で電気機器を使うために延長コードを引き、タコ足配線になってしまうような場合にはこの方法がおすすめです。
②コンセント挿し込み口を交換する
新しいコンセント挿し込み口に配線を繋ぎかえる工事です。既存のコンセントと同じ場所で挿し込み口の数を増やしたい場合に必要な工事です。場所や挿し込み口の数によっては、既存の配線を取り替える必要なく、そのまま利用できます。
必要な作業は、元のコンセント器具を取り外し、内部配線を新しい器具につなぎ変えて付けることだけです。電気配線を変更するような大掛かりな工事は必要ありません。最も簡単に行える増設工事であり、「ここにもう1つだけ差し込み口があったらなあ‥」という時におすすめです。
しかし、差し込み口を増やしたとしても、そのコンセント全体で使用できる電気容量はそのままです。配線の電気容量によっては、たくさんの電気機器を接続した結果、ブレーカーが落ちてしまうこともあります。工事の前に電気容量の確認を必ず行ってください。
③分電盤から専用の配線を引く
分電盤に新たな配線をつないでコンセントを増設する工事です。ガスコンロからIHクッキングヒーターに切り替える時やエアコンの設置台数を増やす時など、電気使用量の大きい電化製品を使いたい場合に必要な工事です。
・ブレーカーの空きがある場合
まず、現在の分電盤に予備のブレーカーがついているか確認しましょう。ブレーカーの予備があれば、分電盤内に増設することができます。
・ブレーカーの空きがない場合
予備のブレーカーがない場合は、分電盤の横に子ブレーカーを増設します。ブレーカーを増設する時は2個までにしておくのがおすすめです。分電盤の外に子ブレーカーを設置するのは見た目的に悪くなってしまうため、この際分電盤を交換してしまうのも一つの手です。
コンセント増設にまつわる注意点
①電気容量の確認
家の契約アンペア数や分電盤のブレーカー容量を確認。
過剰な電力消費はブレーカーが落ちたり、発火リスクを引き起こす可能性があります。
②コンセント増設には電気工事士の資格が必要
「コンセントの挿し込み口を変えるだけなら自分でもできそう」と思われる方もいるかもしれません。しかし屋内配線のスイッチやコンセントのような器具に電線を繋いだり、電線を繋ぐ作業は、電気工事士の資格を持っていないとやってはいけないことになっています。コンセント増設には「第2種電気工事士」以上の国家資格が必須となります。
③ワット数の大きな電化製品には専用のブレーカーが必要
そもそも、分電盤(ブレーカー)は店舗に取り込んだ電気を、それぞれの部屋や用途ごとに分岐するための装置です。分岐することで1つの線でトラブルが起きても、他の線に接続された電気機器を守ることができます。
例えば、コンセントと照明を別系統に分岐しておくと、ドライヤーなどを使ってブレーカーが落ちたとしても、照明は消えずにすみます。ブレーカーは使用する電化製品によって、標準回路と専用回路を使うものに分かれます。通常のコンセントに差し込んで使う製品は標準回路からの電気を使用しますが、エアコン、電子レンジ、IHコンロ、食洗機などの消費電力1000Wを超える電化製品は、専用回路を使用します。この専用回路はブレーカーによって数が決まっているため、電化製品を増設したいのに回路が埋まっている場合には、専用回路の増設工事を行う必要があります。
・配線経路と壁内部の構造
壁内部に障害物があると、工事が難しくなる場合があります。事前調査が重要です。
・屋外コンセントの設置
防水・防塵仕様のコンセントを使用し、漏電防止対策を行う必要があります。
コンセント増設の費用はどのくらい?
コンセント増設の費用はコンセントの増設・交換の種類、設置場所、何階建ての何階か、配線方法や扉の有無などによって変動します。目安としては以下のようになります。
①既存の配線から分岐
・費用: 約5,000円~15,000円/1箇所
・工事時間: 約1~2時間
②専用回線の増設
・費用: 約15,000円~30,000円/1箇所
※分電盤の増設が必要な場合はさらに追加費用(10,000~30,000円程度)。
③屋外コンセントの設置
・費用: 約10,000円~20,000円
④高機能コンセント
・USBポート付きや防水タイプなどの設置: 本体価格+5,000円~10,000円程度の工事費。
どの工事でもかかってくるのは「コンセントの本体代金」「交換工事費」「電源ケーブル配線工事費」です。①のコンセントを新設する場合は、さらに「壁穴加工費」がかかります。③の分電盤から専用の配線を引く工事では、「ブレーカーの追加代金」や「分電盤追加工事費」がかかることがあります。
まとめ
コンセントが必要な電化製品を新たに導入すると、既存のコンセントだけでは足りなかったり、新たな場所にコンセントが必要になることがあるものです。コンセントの増設は数十分から数時間で終わるものですが、使いたい日に間に合うように余裕を持って工事依頼をするようにしましょう。