DIYもできる人気の自然素材、珪藻土の機能と魅力
近年は、店舗においても自然素材が見直されるようになり、日本の気候風土に合った昔ながら工法である塗り壁が人気を集めています。塗り壁は和室用と決まったものではありません。フランス壁と呼ばれる西洋漆喰は、ヨーロッパでも伝統的な壁材として知られ、日本でも店舗の内・外壁によく採用されています。
塗り壁にもさまざまな種類がありますが、今回は珪藻土にフォーカスしてみました。
珪藻土って何?
珪藻土といっても、土ではありません。藻類の一種である珪藻の遺骸(珪藻殻)が海底や湖底で泥粒子と共に沈殿し、化石化したもので、主成分はガラスと同じ珪酸質(ケイ素と酸素の化合物)です。海に囲まれた日本では約80ヵ所の地域で採掘されています。珪藻土は昔から様々なものに利用され、七輪やコンロ、耐火断熱レンガの原料(火に強いため)、またビールやお酒を製造する際のろ過材などにも使用されています。
珪藻土の機能
珪藻土は、以下に挙げられるような多くの機能を持っています。
・調湿機能
珪藻土は無数の細孔を持っているため、自律的な吸放湿を半永久的に行い、湿度が40%以下になると湿気が放出されます。珪藻土が施された空間は、常に人間に快適な40%~60%の湿度に保たれ、その機能は備長炭や竹炭の4~6倍もあります。最近はこの機能が利用された、珪藻土のバスマットも人気があります。
・消臭機能
湿気を吸収すると同時に臭いの分子も吸着され、タバコやペット、さまざまな料理の臭いなどに消臭効果を発揮します。しかし、湿気を放出するとき臭いも一緒に出てくるのではないかと思われますが、吐き出す速度は極めて遅く人間の感じるレベルではないので臭いは気になりません。
・耐火機能
珪藻土が七輪やコンロに利用されている理由は、珪藻土はシリカという鉱物系の石や土の元素と同じで不燃のため(融点が1250度)です。また万が一火災が発生しても燃焼までの時間が長く抑えられ、安全性が高くなります。
・自浄機能
調湿機能の優れた珪藻土は自浄効果もあります。例えば、お茶や醤油、油汚れなども湿気と共に少しずつ吐き出し、だんだん汚れが消えてしまいます。また珪藻土は電気を帯電しないため埃を吸い寄せません。
・省エネ効果
珪藻土は無数の細孔に空気を含み、層になっているので、発泡スチロールと同じように断熱効果があり、外気温の影響が少なく省エネに繋がります。1年を通してカラッとした快適な室内空間をつくることができるでしょう。
・遠赤外線効果
遠赤外線は身体の組織を破壊せず活性化する作用があると言われています。珪藻土は遠赤外線を放射しているため珪藻土の壁に囲まれていると、岩盤浴と同じデトックス(体内から老廃物や毒素を取り除く)効果があります。
DIYも意外と簡単!
近年は、さまざまなメーカーから簡単にDIYできる珪藻土が販売されています。通常は粉末状の珪藻土を水で練って壁に塗りつけていきますが、練り済み珪藻土も市販されているため、練る手間がなくすぐに使用できます。珪藻土はビニールクロスの上からなら、直接施工することができますが、水分を吸収する下地の場合はシーラーの塗布が必要です。
塗り壁の魅力は、クロスのようにジョイントが発生せず、表情豊かな壁面の演出ができること。コテを使用して扇形の模様を付けてみたり、刷毛を使用して刷毛引き仕上げにしたり、縦模様にできるコテバケ仕上げにするなど自由自在。また、塗り壁用のパターン型紙やパターンカートリッジなども市販されているため、好みの模様を描くことができます。職人さんのような仕上げは期待できなくても、個性的で味わいのある表情をつくり出せるでしょう。
珪藻土を選ぶ際の注意点
珪藻土は細孔の大きさによって以下の3種類に分類されています。
■マクロボア:50ナノメートル以上のボア
■メソボア:2~50ナノメートルのボア
■ミクロボア:2ナノメートル以下のボア
*ボアとは細孔のこと
このうち、調湿機能を持つのはメソボアのみです。マクロボアでは湿気を吸うことも放出することもなく、ミクロボアでは湿気は吸いますが、放出されません。したがって調湿機能を求める場合はメソボア珪藻土の配合が多いものを選びましょう。
まとめ
珪藻土は、居酒屋など和風店舗には最適ですが、モダンな雰囲気の店舗にも合わすことができます。また、タイルや木との相性も良く、カラーも豊富にラインナップされているため、店舗の雰囲気に合った演出が可能です。店舗の壁材に迷ったときや、リフォームをお考えのとき、またこだわりの自然素材を使用したい場合などは、珪藻土を使用してみてはいかがでしょうか。