オフィス向け 床材選びガイド
かつてオフィスの床はグレーのタイルが定番でしたが、近年では色や素材の選択肢が増え、床材選びを楽しめるようになりました。今回はオフィス向け床材の種類や特徴、選ぶポイントについて紹介します。
【床材の種類】オフィスで人気の床材
現在オフィスでよく用いられる床材は「タイルカーペット」と「フロアタイル」です。この2つに加えて「天然素材」が用いられることもあります。
〈タイルカーペット〉
タイルカーペットとは正方形や長方形のパネル状のカーペットのことで、表面に使われているパイルと呼ばれる糸はナイロンやポリプロピレン製が主です。50cm角や40cm角のパネルを敷き詰めて床を貼っていきます。住宅向けのカーペットは比較的厚みがあり、ふんわりと柔らかい踏み心地ですが、オフィス向けのものはパイルの長さが短くしっかりとした踏み心地のものが多いです。
〈フロアタイル〉
フロアタイルとは塩化ビニルでできた硬いタイルで、木目のデザインを一番よく見かけるかと思います。フローリングとの違いは、フローリングは塩化ビニルではなく木材を使用していること、またタイルではなくシート状になっているものは「フロアシート(もしくはクッションフロア)」といいます。フロアタイルは硬いですが、フロアシート(クッションフロア)はクッション性のある素材が使われています。そしてフロアタイルの方が耐久性の高いものになります。
〈天然素材〉
天然素材には石、木、タイルなどがあります。天然素材は高価で定期的なメンテナンスも必要になりますので、広範囲の使用には適していません。エントランス部分など印象付けたい場所に取り入れると良いでしょう。
【各床材の特徴】適した使用場所
3つの床材の特徴を表にまとめました。それぞれ適した場所として、タイルカーペットは執務室や会議室といった事務的な仕事をするスペースを中心に、エントランスや更衣室などにおすすめです。フロアタイルは廊下や給湯室、食堂の他に執務室、会議室、エントランスにも適しています。天然素材はエントランスや客室などにおすすめです。
【床の色選び】色彩が与えるイメージ
床の色が違うだけでその空間の印象がだいぶ変わって見えるものです。部屋の雰囲気は会社のイメージや社員のモチベーションにつながりますので、どの色を選ぶかはとても重要になってきます。自宅ではカーテンの色で変化をつけますが、オフィスではカーテンはシンプルなものにして床の色で印象付けると良いでしょう。
〈色彩が与えるイメージ〉
【配線収納】OAフロアについて
オフィスの床でやっかいなのがパソコンや電話、コピー機といった配線の処理です。その配線を隠すために床を二重にして収納できるのが「OAフロア」です(英語ではRaised floorといいます)。配線を床下に収納できるため、快適な足元環境を叶えられます。剥き出しの配線につまずくことを防げますし、ケーブル破損のリスクも軽減されます。また、床の清掃がしやすいですし見栄えもよく清潔感を保てます。タイルカーペットは一枚めくれば簡単に配線にアクセスできるので、OAフロアの仕上げの床材に最適です。OAフロアには主に「置き敷きタイプ」と「高さ調整タイプ」の2種類があります。
〈置き敷きタイプ〉
置き敷きタイプは、一般的なオフィスに導入されることが多いスタンダードな方法です。価格が安い、工期が短い、軽量であることが特徴です。素材は樹脂製とコンクリート製があります。樹脂製のメリットは安価で軽量なため建物への負担が少ないことで、デメリットは歩行時に空洞音が鳴りやすく耐荷重が低いことです。コンクリート製は樹脂製より歩きやすいですが、やや高価なものになります。
〈高さ調整タイプ〉
高さ調整タイプは、床面の高さを自由に調整することができます。床下空間が置き敷きタイプより広くなりますので、より多くの配線や空調機器・コンセントなどの設置が可能です。素材は金属製で、支柱にゴムシートがセットされているので耐震性・耐久性にも優れています。高強度で歩きやすいですが、資材費・施工費が高価なものになります。そのため、配線の多いIT企業やコールセンター、大規模オフィスで大勢の人が働いている場合におすすめです。
【まとめ】
オフィスの床材を選ぶ際は床材の種類に始まり、素材・色・デザインを検討し、OAフロアを設けるかどうか検討することになります。それぞれの部屋の目指したいイメージに合った床、使いやすい床にすることが大切です。掃除のしやすさや耐久性も選ぶポイントとなりますので、毎日の仕事が快適にできる床を選ぶようにしましょう。