オフィス移転の注意事項
オフィスを移転する際に気をつけたい注意事項についてご紹介します。移転先を決める時に考慮すべきことや、間仕切りを建てたい時の注意点、工事の業者は自分で選べるのか、移転に伴ってするべきことを簡単にまとめました。オフィスの移転を検討し始めている方はぜひ参考にしていただけたらと思います。
移転先の選定で考慮すべきことは?
近年、オフィスの縮小移転を検討する企業が増えているかと思います。オフィスの移転先を選定する際はコストカット以外にも、次のような点を考慮して検討すると良いでしょう。
□立地・場所
□社員の通勤時間・費用の増減
□最寄駅からの所要時間
□銀行、郵便局、役所の所在地
□飲食店、商業施設の有無
□他の入居テナント
□コスト(賃料・共益費・敷金・保証金・更新料・礼金・預託金)
従業員1人あたりの広さはどれくらい必要?
移転先の物件を検討する上で1つの基準となるのが、従業員1人1人に必要な広さが確保できる物件なのかだと思います。労働安全衛生法および労働安全衛生規則では、作業環境を快適な状態で維持できるように従業員1人あたりの広さの規定が設けられています。
事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。(労働安全衛生規則 第三編 第三章 気積及び換気)
オフィスの1人あたりの広さは10㎥、面積でみるとおよそ3坪(約9.92㎡)が適正値です。10㎥以下だと罰則があるというものではありませんので、テレワークやフレックス制などの導入により1人あたりの広さが3坪を下回るオフィスも増えています。あくまで「1人あたり10㎥あれば十分な空気が得られる」という観点で定められています。
間仕切りを建てる場合の注意点
オフィスに会議室や訪問者用の小部屋を作りたいということであれば注意が必要です。「間仕切り」とは、建物にもともとある壁以外に後から増設した仕切りのことを言います。間仕切りには、一人一人のデスクに取りつける高さ数十センチの囲いや、移動可能なパーテーションなども含みます。間仕切りの中でも、天井に届く仕切りを建てる場合は区切られた空間を消防法上の“部屋”と見なされますので、以下のような対応が必要です。
<消防署への届け出>
天井まで届く間仕切りを建てる場合は、消防署への届け出が必要になります。工事着工の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」の提出を済ませるようにしましょう。
<火災報知器の設置>
消防法ではオフィスの各部屋に火災報知器を設置するよう義務付けられています。そのため間仕切りで区切った空間に火災報知器がない場合、新たに設置する必要があります。
入居工事の際の業者は指定されることも
オフィスの入居工事では、ビル会社の指定業者にしか頼めない場合があります。工事の種類によって指定される場合と自分で選べる場合があり、以下のような割り振りになっていることが多いです。
<工事の種類>
①A工事(ビル会社の指定業者へ依頼/ビル会社が費用を負担)
ビル全体に関わる工事では、ビル会社の指定業者が行い、費用もビル会社が負担します。ビルの外装や共用部分が対象となりますので、オフィスの入居工事とはほとんど関係ないかもしれません。
②B工事(ビル会社の指定業者へ依頼/テナントが費用を負担)
テナントの要望で行われる工事の中でも、ビル全体に影響する場合はビル会社の指定業者に依頼します。分電盤や給排水工事、空調設備などの工事がここに含まれます。間仕切りの工事もB工事となる場合があります。
③C工事(テナントが業者を選べる/テナントが費用を負担)
オフィス内の内装や照明器具の工事はC工事となり、自分で業者を選ぶことができます。C工事の割り当てが多いビルではテナントが業者を選べるため、内装工事費を安く抑えることができます。
工事前には近隣への挨拶を忘れずに
入居工事が始まる前に、必ず近隣への挨拶を済ませるようにしましょう。特にビルなどの場合、すぐ隣に違うオフィスが入居していることもあり、工事期間中はなにかしら迷惑を掛けることになります。挨拶をする際はタオルなど簡単な手土産を持っていくとイメージが悪くなりません。工事が始まる前は忙しいタイミングではありますが、今後の付き合いのためにも気配りを忘れずに行いましょう。
移転案内の送付はなるべく早めに
関係先へのオフィス移転の案内も忘れずに行いましょう。住所や電話番号が変わるため、関係先では登録の変更が必要になります。案内状の送付の前に電話やメールで移転する旨を伝えておくとより丁寧です。移転が正式に決まったら、なるべく早めに案内を送付できるように準備しましょう。