ダンススクール・スタジオ開業にかかる資金と利用できる融資制度
以前は一部の人々の趣味やプロを目指す人々だけのものであったダンスですが、現在は大変身近なものになり、子供からシニアまでそれぞれのダンスを楽しむ時代となっています。
ダンスを教えている方も、いずれは独立開業を目指している方が多いのではないかと思います。
しかし、ダンススクール開業にはいったいどれ程の資金が必要になるのか、資金調達の方法がわからないという方も多いことでしょう。
今回は、ダンススクール・ダンススタジオの開業を目指す方々に、必要な資金と初めての開業でも利用できる融資制度をご紹介します。
ダンススクール・スタジオ開業までに必要な費用の目安
ダンススクールを開業するには、以下の費用が必要になります。
【テナント費用】
物件を借りるときにかかる敷金や保証金・礼金・仲介手数料・前家賃など。
テナント費用は物件の立地や広さなどによって大きく変わってきますが、例として20坪で30万円の家賃の場合、敷金・保証金が平均で6か月分かかるため180万円必要です。
全てを合計すると、270万円になります。
【工事費用】
防音工事や鏡や床の設置工事にかかる費用です。防音工事にかかる費用は、物件の構造によって、また必要な防音レベルによっても異なります(夜間使用する場合はより厳重な防音対策が必要)。
防音設備費用の目安はダンススタジオで300万円~500万円程度かかります。その他の内装工事費は、鏡・床などに100万円~150万円程度。
費用を抑えるには、既に防音設備がある居抜き物件を探すという方法もあります。
【設備費用】
音響設備・空調設備・照明設備・その他備品等に100~150万円程度。
【宣伝費用】
ホームページの作成費用やチラシ・カタログ等の作成に100万円程度かかるとみておきましょう。
以上の他に、ある程度の運転資金も用意する必要があります。
大まかに計算しても20坪程度のダンススクール開業に1,000万円以上の資金が必要になるということです。
初めての開業でも創業融資制度を利用して資金調達が可能!
以上でご紹介したように、ダンススクールを開業するにはまとまった資金が必要になりますが、民間金融機関での創業のための借り入れは、信用や実績がないため難しいのが現実です(民間金融機関はリスクが大きい創業のための融資は単独では扱っていない)。
しかし、国や自治体が運営する「創業融資制度」を利用することができます。
創業融資制度は、日本政策金融公庫の「新創業融資」と都道府県など自治体の「創業融資」があります。
日本政策金融公庫の「新創業融資」
「新創業融資」は、起業・創業による産業の活性化の促進、雇用創出、開業率が廃業率を上回ることなどを目的として、営業実績が乏しく資金調達が困難な創業企業に対して、積極的な融資・支援を行うための制度です。
概要は以下の通りです。
・資金の使途:事業開始時や開始後に必要な事業資金
・融資限度額:3,000万円(運転資金は1,500万円)
・返済期間:設備資金は15年以内、運転資金は5年以内
・融資利率:無担保・無保証人の場合、基準利率2.26~2.65(平成31年3月現在年利%)
・担保、保証人:原則不要
(融資利用の要件)
1.新に事業を始める人、または事業開始後税務申告を2期終えていない人
2.雇用創出等の要件(10つの要件)のいずれかに該当する人(例:雇用を創出する事業を始めるなど)
3.新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告1期を終えていない人は、創業総額の1/10以上の自己資金が確認できる人など。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html
東京都中小企業制度融資の「創業融資」
東京都の産業労働局が運営する「東京都中小企業制度融資」の中に新規の創業資金や創業後の事業資金を調達したい人のために「創業融資」があります。
概要は以下の通りです。
・資金の使途:運転資金や設備資金
・融資限度額:3,500万円(創業前の人は自己資金に2,000万円を加えた額の範囲内)
・融資期間:設備資金は10年以内、運転資金は7年以内(いずれも据え置き期間1年以内を含む)
・融資利率:固定金利1.5~2.5%以内、変動金利「短プラ+0.2~0.7%」以内
・担保、保証人:担保は不要、東京都信用保証協会の保証(信用保証料の1/2は東京都が負担)
(融資利用の要件)
1.都内に事務所(住居)があり、保障協会の保証対象となる業種を営んでいること
2.事業税やその他租税の未申告や滞納がないこと
3.許可・認可・登録・届出等が必要な業種は、当該許可等を受けている、または受けること
4.現在かつ将来に渡り暴力団等に該当しないことなど。
www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/ac17266838b20784ce234cf220511906.pdf
以上でご紹介した2つの創業融資制度は、創業者にとってメリットの多くおすすめの融資制度ですが、特に日本政策金融公庫の「新創業融資」は申請から融資実行までが早い(1か月程度)こともメリットに挙げられます。
一方、東京都中小企業制度融資は、金利が低いことがメリットですが、融資を受けるまでの手続きがやや複雑です。
創業融資制度を利用するには、しっかりとした創業計画書を練り、必要書類を準備することが重要になります。
自分では何から始めていいのかわからないという人は、創業融資をサポートする専門家(税理士・行政書士・コンサルタント等)に相談してみましょう。
専門家を選ぶ際は、着手金のかからない完全成功報酬型で、無料相談なども行ってくれるところがおすすめです。