飲食店の営業許可申請に必要な「食品衛生責任者」とは?
飲食店の営業を始める前に必要な手続きに、保健所への営業許可申請があります。各自治体の保健所の生活衛生課に申請を行います。その時に必要なのが「食品衛生責任者」の資格です。「食品衛生責任者」とは何なのか、またどうしたらその資格を持つことができるのかをご紹介します。
食品衛生責任者とは
食品衛生責任者の役割は「施設において食中毒や食品衛生違反を起こさないように、食品衛生上の管理運営を行う」ことです。飲食店の1店舗に1人、食品衛生責任者が必要です。
食品衛生管理者との違い
食品衛生管理者は、食品の製造をする施設に必要な資格です。乳製品、食品添加物、食肉製品、食用油脂など、特定の食品の製造のための管理者です。
食品衛生責任者の資格を取るには
食品衛生責任者の資格を取るには、①栄養士を始めとする資格を持っているか②食品衛生責任者養成講習会を受講するか、のどちらかが必要です。
①栄養士を始めとする資格を持っている場合
次の資格を持っている場合、講習会を受けずに食品衛生責任者になることが可能です。
・栄養士
・調理師
・製菓衛生師
・と畜場法に規定する衛生責任者
・と畜場法に規定する作業衛生責任者
・食鳥処理衛生管理者
・船舶料理士
・食品衛生管理者、もしくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者
これらの資格を持っている方は、保健所へ詳細をお問い合わせください。
②食品衛生責任者養成講習会を受講する場合
講習会は事前予約制で、東京都の場合「一般社団法人東京都食品衛生協会」が実施しています。平成9年4月1日以前は、講習会を受けた都道府県でしか資格が有効ではありませんでしたが、それ以降は全国標準化により、どの都道府県で資格を取っても有効になりました。ですので、例えば千葉県で講習を受けて東京で店舗を開業することができます。
注意しておきたいのが、東京都の場合、月に10回ほど開催されますが1ヶ月くらい先まで予約が満席のことがあります。早めに予約しておきましょう。
※現在(2020年5月)新型コロナウイルスの影響で東京都の5月中の講習会が中止になっています。申し込みが開始次第「一般社団法人東京都食品衛生協会」のホームページでお知らせがあります。
食品衛生責任者養成講習会の内容とは
講習会は1日で終わります。午前9時45分~午後4時30分までお昼休みをはさんで6時間の講習会です。
大まかに次の3つの内容を学びます。
・衛生法規(2時間)
法律や条例についてです。食品衛生法の内容や営業施設の基準、食品衛生責任者の責務などを学びます。
・公衆衛生学(1時間)
環境に関わる衛生学についてです。インフルエンザ等の感染症や食育、水質検査の必要性、人口統計などを学びます。
・食品衛生学(3時間)テストを含む
主に食中毒について学びます。テストは講習内容をきちんと聞いて理解していれば満点を取れるレベルです。
受講料は10,000円で、当日払いです。講習が終われば受講修了証(食品衛生責任者手帳)が交付されます。保健所に営業許可申請をする際にその受講修了証を持っていくようにしましょう。また、飲食店の店舗のお客様に見えるところに食品衛生責任者の名前を掲示する義務があります。そのためのプレートが講習会の間に1枚800円で販売されますので、ほしい方は購入しておきましょう。
特別な食材を扱うために必要な申請
一部、特別な食材を扱うために申請が必要なものがあります。
・ふぐを取り扱う場合「ふぐ取扱所認証申請証」と「ふぐ加工製品取扱い届・届出時確認書」の届け出が必要です。(専任のふぐ調理師の免許証が必要)
・生食用かきを取り扱う場合「生食用かき取扱い届出書」の提出が必要です。
また、生食用の食肉を提供する場合は、法律や都道府県の条例で細かい規制がありますので、保健局のホームページで確認しておきましょう。
まとめ
食品衛生責任者について、その資格を得るための講習会について、その他届出が必要な食材についてご紹介してきました。食品衛生責任者は食中毒や食品衛生の知識を持ち、1店舗に1人責任者が必要です。そのためには栄養士を始めとする免許を持っているか、食品衛生責任者養成講習会を受講する必要があります。講習会は毎月開催されていますが、予約が埋まっていることもありますので早めに予約しておきましょう。保健所に営業許可申請をすると、保健所がお店のチェックに来ます。保健所がチェックするポイントについて、別の記事で解説しますのでそちらもご覧ください。