居抜き物件でよくあるトラブル
居抜き物件は、以前の店舗の内装や設備などを引き継いで使うことが出来ます。初期投資を抑えられるということで、近年人気が出てきました。東京都内で開業する飲食店の半数が居抜き開業だと言われています。
しかし、居抜き物件をいざ購入したところで、思わぬトラブルが発生することがあります。居抜き開業で失敗してしまうことは、意外と多くあるのです。この記事では、居抜き物件でよくあるトラブルについて紹介します。
1.リフォーム費用が思った以上に必要だった
居抜き物件で、以前と違う業態で開業する場合、リフォームが必要です。スケルトン物件よりも高くついてしまうことになります。居抜き物件を一度何もない状態(スケルトン)にするには、100万円以上掛かります。同じ飲食店でも、軽食だった店舗を、重飲食の店舗に変えるには、大幅な設備変更が必要になり、多額の工事費が必要になります。
○回避するには‥ レイアウトを変えなくても良い、同じ業態の物件を選びましょう。 厨房などの位置・大きさの変更をしなくても良い物件を探しましょう。
2.設備の老朽化が凄かった
設備が一通り揃っているから安く済んだと思い、実際に使ってみると老朽化がひどいということがあります。ねずみが出る、窓の外に鳥の巣がある、というトラブルもあります。
飲食店の場合、厨房の排水管が詰まっていて、流れが悪くなっていることが多いです。排水の詰まりを直すには、厨房機器を全て片付け、床を掘り返して排水管を引き直す必要があります。100万円を超える工事になってしまいます。引き直さないまでも、定期的な洗浄を業者にお願いすることになります。
また、換気や冷暖房の問題もあります。換気扇の効きが悪く、お客様からのクレームに繋がったり、夏場にエアコンが効かないといったトラブルがあります。
○ 回避するには‥居抜き物件は、設備のトラブルを抱えていることが多いと念頭に置いておきましょう。 事前に詳しい専門業者に同行してもらい、物件の設備のチェックをしてもらうことをお勧めします。
3.使えない物の撤去費や修理費が必要。いらない造作物がある
引き継いだ造作物が使えず、捨てるにも撤去費が必要で、使うとしても修理が必要なことがあります。造作物とは、「前の店が使用していた内装や吸排気設備、他の設備、備品など」のことで、譲り受けるために費用が発生します。その中には、自分の店には必要でないものが含まれていることもあります。
○回避するには‥引き継いだ造作物は何かしら不具合があると心得ておきましょう。 前の店がいなくなった時の状態によっては、撤去する手間が必要になります。
4.集客が思った以上に難しい
居抜き物件である以上、前の経営者が失敗した店であることは間違いありません。居抜き物件で開業するからには、前の店と同じような業種・業態の開業がほとんどです。
前の店の評判が悪いと、その印象をなかなか拭えず、集客がなかなか思ったようにいかないということがあるのです。
○回避するには‥ 前の店がなぜ上手く行かなかったのかリサーチしましょう。不動産会社や大家さんに尋ねたり、近くの店の人に聞いてみたり、インターネットの口コミを見ることも役立ちます。二の舞にならないようにしっかり準備しましょう。 造作物を上手く生かした印象的な店作りを考えて、お客さんの目を引く努力をしましょう。
5.近隣とのトラブル
開業後の近隣とのトラブルで多いのは、「音」と「臭い」の問題です。以前の店の時からクレームはあったのですが、なかなか改善されず、退店する時にはもう諦めている場合、新しい店になると、改善してもらえるチャンスと思って、伝えに来ることがあります。
「臭い」は、排気口の方向を変えただけでは解決できず、ビルの屋上まで上げる工事をしないと改善されないため、費用がかかります。
○回避するには‥臭いや煙をどこに出せるかをチェックしましょう。 ご近所付き合いを大切にしましょう。
居抜き物件を借りる前に、問題点を把握することが大切です。チェック項目を作成する等して、きちんと現状を確認するようにしましょう。「安物買いの銭失い」にならず、お客様に喜ばれる繁盛店を目指して、良い物件選びが出来るように準備しましょう。