繁盛店の作り方-経営編
「石の上にも三年」という諺があります。苦労しても我慢強く辛抱すれば、必ず成功するといった意味で使われていますが、こと店舗経営においては、ただ無為に辛抱するだけでは繁盛店にはなりません。特に飲食業界では開業して2年以内に約半数の店舗が閉店しているというデーターもあるくらい厳しい状況です。飲食業界は成熟の極みにあり、美味しい料理を提供するだけでは集客は望めなくなっています。何故なら“美味しいのが当たり前”の時代になっており、「美味しい+何か」をウリにしなければならなくなっているのです。美味しいこと以外の“何か”をウリにできる経営者だけが、繁盛店を作ることができ、勝ち残っていく経営者なのです。
繁盛店の経営者は驚く程考えている!
経営者なのだから、自店をどうやって繁盛店にするか考えるのは当然のことです。しかし実際に成功している経営者は、普通のレベルの“考える”ではありません。独自のメニューやサービス、販売方法、コストのかけ方、独自システムの構築やお客の心理に至るまで、とことん考えに考え、日夜考え抜くことのできる経営者なのです。言い換えれば、そういう経営者の方々は「美味しいだけではお客は来ない」ということを知っている経営者とも言えます。「商売は水物」と言われているように、今日は繁盛していても、明日はどうなるか分かりません。店舗を開業したその日から、試行錯誤し、考え続ける日々が始まります。それを止めることができるのは廃業した時だけ。ヒット商品を生み出したからと言っても、立ち止まってはいられないのです。永遠に続くヒット商品なんて世の中にはないのですから…。
ヒット商品は非常識から生まれる!?
ここで一つの例を挙げてみたいと思います。皆さんも良くご存じの某レストランチェーンです。
数年前に店長の不祥事、食中毒事件と相次ぎ、順調だった会社の経営は赤字転落。社会的な信用は失墜し、銀行からの融資も受けられないというどん底の状態にまで陥りました。
しかしその後、立ったままでステーキを食べる店をオープン。当初は「立ち食いステーキなんて非常識だ」と言われたそうです。しかし、何とそのアイデアが功を奏し、最初の年は30店舗のオープンを果たし、今年は立ち食いステーキ店100店舗を達成しました。
成型肉ではない、本物の美味しい肉を安く提供するということで、原価率は飲食店ではあり得ない70%超え。しかしそれも立ち食いという形態のおかげで、狭い店内でも客数を増やし、回転数を増やすことで利益に繋げています。経営者は考えに考え抜くだけでなく、そのアイデアを実行に移す勇気や行動力も必要だということですね。
しかし奇抜なアイデアだけで、ヒットするほど世の中は甘くありません。「立ち食いステーキ」というスタイルが、お客のニーズに嵌った結果、ヒットに繋がったと言えるでしょう。
ここで大きな“しかし”です。一体誰が立ったままステーキを食べたいなんて思っていたでしょうか?
お客自身すら想像もしなかったニーズなのです。肉好きな人間からすれば、立ったままでいきなり大きな肉を頬張るなんてちょっとゾクッとするくらいの快感です。
しかも目の前で欲しいだけの肉を切ってもらい、焼くという視覚効果付き。待っているお客からすれば、垂涎の思いでしょう。
消費者すら考えなかった『人間の本能を刺激するもの』だったようです。
繁盛店を作るために経営者が求められることは、経営者である限り考え続けなければならないこと、そして常識に捉われた考え方ではダメだということです。
時には非常識だと思われることが、ヒットに繋がることもあるのです。
流行っている店の真似や経営のハウツー本には書かれていない、「独自のモノを生み出す」という心構えで店舗経営に挑みましょう。
月並みな言い方ですが、「人のやらないことをやる」そんな経営を目指してください!